TOP - 現場コラム 一覧 - 雷で停電が発生するのはなぜ?復旧までの対処法や備えを徹底解説
雷で停電が発生するのはなぜ?復旧までの対処法や備えを徹底解説

落雷によって発生する、突然の停電。気温が急激に上昇する夏場は、大気の不安定さから特に雷が発生しやすく、停電の頻度も高くなります。
家電製品への影響やパソコンのデータなど、停電による生活への影響は大きいです。離れた場所への落雷でも停電することがあるため、日頃の備えが欠かせません。
今回は、雷で停電が発生する原因や、いざというときの対処法を解説します。被害を最小限に抑える具体的な備えも紹介しますので、雷が増えるこれからの季節に向けて、今からできる対策をチェックしておきましょう。
目次
雷で停電が起こるのはなぜ?主な原因とメカニズム
雷によって起こる停電は、主に次の2つの原因で発生します。
- 落雷による送電線や、変電設備の故障
- 電線を伝う過電流
落雷のエネルギーはすさまじく、1回の雷で発生する電力はおよそ200万~1億ボルト。落雷を受けて送電線や変電設備が損傷すると、変電所からの供給経路が断たれ、停電が発生します。また電柱に落ちた雷など、送電線を伝って流れ込む過電流も停電の原因です。
過電流が流れ込んだときにコンセントやプラグに触れていると、感電の恐れがあります。遠くで雷の音が聞こえたら、早めに電源プラグやケーブルをコンセントから抜いておきましょう。
雷による停電で起こるリスクと注意点
雷が原因の停電では、具体的にどのような問題が発生するのでしょうか。主なリスクは、次の3つです。
- 雷が離れていても停電する可能性がある
- 家電製品が故障するリスクがある
- パソコンのデータが失われるリスクがある
それぞれ詳しく見ていきましょう。
雷が離れていても停電する可能性がある
「雷が直撃しなければ大丈夫」と考えるかもしれませんが、実は離れた距離であっても停電に注意が必要です。停電の原因となる雷には、「直撃雷」と「誘導雷」の2種類があります。
- 直撃雷:直接モノや建物に落ちる雷
- 誘導雷:落雷で変化した電圧によって発生する電流
雷が遠くで鳴っているのに停電が発生した場合は、「誘導雷」が原因のケースも多いです。離れた場所への落雷でも電線を伝って分電盤や家電に影響を及ぼす場合もあるため、注意しましょう。
家電製品が故障するリスクがある
落雷が発生すると、「雷サージ」の影響で家電製品が故障しやすくなります。雷サージとは、落雷で発生する、一時的な過剰電圧や電流のこと。コンセントだけでなくアンテナ線やケーブルを通しても影響を及ぼすため、インターネットをつないで使用するテレビやパソコンといった精密機器は、特に影響を受けやすくなっています。
パソコンのデータが失われるリスクがある
最新型のパソコンは、作業中にデータを自動保存する機能が備わっているため、停電で突然パソコンの電源が落ちてもデータが消える可能性は低いです。しかし電力供給が突然ストップしたことでパソコン本体に負荷がかかると、不具合が出やすく、データが失われるリスクがあります。
停電への備えとしてはもちろんのこと、大切なデータは日常的にバックアップしておきましょう。
停電したらどうする?雷による停電時の対処法
突然の停電はつい慌てやすいですが、すぐに復旧する場合も多いです。まずは落ち着いて、次の3つの方法で対処しましょう。
家電製品のコンセントを抜く
停電から復旧するときは、一度に流れ込む電流の影響で電圧が高くなるため、家電製品に負荷がかかりやすいです。復旧時の故障を防ぐためにも、停電したらできるだけコンセントを抜いておきましょう。
ただし、落雷の発生からすぐにコンセントに触れると、感電する恐れがあります。落雷で停電したときは、安全のために10分ほど経過してからコンセントを抜くようにしてください。
ブレーカーが落ちていたら上げる
落雷により一時的に多くの電流が流れると、影響を抑えるために安全ブレーカーが落ちることがあります。ブレーカーを確認して、もし安全ブレーカーが落ちていたら手動で元に戻しましょう。電力の供給経路への影響がなく、安全ブレーカーが正常に作動したための停電であれば、問題なく復旧できます。
電力会社に復旧状況を確認する
安全ブレーカーを戻しても電気が復旧しないときは、電力会社に復旧状況を確認しましょう。落雷の状況によっては、復旧までに時間がかかることもあります。落ち着いて電力会社の指示に従ってください。
停電前に!雷が鳴ったらすぐにとるべき3つの備え
落雷は突然起こるものではなく、積乱雲の発生や雨などで予測が可能です。停電による被害を抑えるために、雷が鳴ったらすぐに行いたい3つの備えを紹介します。
パソコンや精密機器の電源を落とす
雷が鳴ったら、まずはパソコンをはじめとする精密機器の電源を落としましょう。使用中ですぐにノートパソコンをシャットダウンできない場合は、コンセントを抜くのでも十分です。雷は急に強まることもあるため、雷の音が聞こえたら早めの対処を心がけましょう。
LANケーブルやアンテナ線を外す
落雷による過電流は、コンセントだけでなくLANケーブルやアンテナ線でも流れ込みます。家電への影響を防ぐなら、コンセントだけでなくLANケーブルやアンテナ線も抜いておきましょう。
冷蔵庫や冷凍庫は極力開けない
停電からの復旧が長引くと、冷蔵庫や冷凍庫内の食材を早く使い切ろうと、つい開け閉めする回数が多くなってしまうかもしれません。しかし冷蔵庫が十分に冷えている状態でドアを開け閉めしなければ、およそ2~3時間ほど庫内の冷えた状態をキープできます(※)。
庫内の様子も気になりますが、停電中はできるだけドアを開けずに、電力の復旧を待ちましょう。
※参考|パナソニック|よくあるご質問|冷蔵庫の停電前の準備と停電時・停電復旧後の対処方法
雷による停電被害を最小限にする3つの対策
日頃の備えを意識すれば、落雷による停電の被害は最小限に抑えられます。被害を抑えるために、日頃から徹底したい3つの対策について見ていきましょう。
大切なデータは定期的にバックアップする
パソコンを使用中に落雷によって突然停電すると、データの損傷や正常なデータの保存が妨げられることもあります。パソコン本体に不具合が発生する可能性もあるため、大切なデータは外部ハードディスクやクラウド型のストレージサービスを利用して、定期的にバックアップをとっておきましょう。
雷サージ保護機能付きの電源タップを使用する
市販の電源タップには、雷サージの影響を防ぐ「雷サージ保護機能付き」のタイプがあります。電源タップは故障する頻度も少なく、買い替えの機会はあまり多くありません。新しく購入するときは、できるだけ雷サージ保護機能付きを選んだ方が、後々まで安心して使い続けられるでしょう。
無停電電源装置(UPS)を導入する
無停電電源装置(UPS)とは、突然の停電で電力供給がストップしたときに、装置内のバッテリーから自動的に電気を供給し、家電製品への影響を一時的に抑える装置です。
UPSの設置には専門的な電気工事が必要になるため、気になる方は電気工事の専門店に相談してみるとよいでしょう。
雷が多くなる季節の前に、停電への備えを万全に
落雷による停電は大抵の場合すぐに復旧しますが、送電設備の故障などがあった場合は、復旧までの時間も多くかかります。いざというときに慌てないように、定期的なデータのバックアップや雷サージ保護機能付きの電源タップを取り入れるなど、日頃の備えが肝心です。
雷は大気の状態が不安定になりやすい夏から秋にかけて、特に多く発生します。雷の多いシーズンが到来する前に、今できる対策を意識して心がけておきましょう。